負の歴史

ヴォワヤージュ・ア・ナントの一環で展示されているブロンズ像「無題」。これは内面の苦しみを表現した作品で、最初に造形されたときは作者自身の味わった苦痛を表現していたそうですが、タイトルが表す如くいかようにも解釈できます。展示場所は一般のアパートが取り囲む中庭で、普段は住民でなければ出入りできない場所。中庭に面して、ナントが三角貿易で繁栄していたころの船主の館があります。1998年に像を制作した時、作者は特に奴隷の苦難を表現するつもりはなかったそうですが、歴史の一端に結びつく場所に展示することによって奴隷貿易を連想させてしまうことは承諾してくれたそうです。

この作品は手で触れてもよいそうで、ごつごつとした体の凹凸が、けして健康体ではないことを思わせ、意図的に表面の傷んだブロンズのように見せているそうです。

市内のあちこちの展示場所に配置された説明要員は、美術・建築・歴史・デザイン選考の学生さんたち。自分の担当する作品への思いが伝わってくる、自身の解釈も混ぜた解説で、ひとつひとつの作品への興味をそそられます。

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